スマートウォッチで測る深い眠りの平均時間|見方と改善法

スマートウォッチで毎日の睡眠を記録していると、「深い眠りの平均時間」が短いと表示されて、気になった経験はありませんか。
そもそも深い睡眠の平均時間はどれくらいが適切なのか、自分の睡眠記録データの見方は合っているのか、様々な疑問が浮かぶ方も多いでしょう。
時には測定できない日があったり、あるいは推奨睡眠時間が長いと感じることもあったり。これらの悩みの多くは、スマートウォッチの睡眠設定や精度についての理解を深めることで、解消の糸口が見つかる場合があります。
また、質の高い睡眠へと導く具体的な睡眠改善のアクション、さらには睡眠の精度で選ぶおすすめのデバイスまで、幅広く網羅しています。
あなたのスマートウォッチを用いた睡眠管理を、より効果的で意味のあるものにするためのヒントが、ここにあります。
- 深い睡眠の理想的な平均時間がわかる
- スマートウォッチの睡眠データの見方がわかる
- 睡眠データが測定できない時の原因と対処法がわかる
- 睡眠の質を高めるための具体的な改善策がわかる
スマートウォッチで分かる深い眠りの平均時間

- そもそも深い睡眠の平均時間はどれくらい?
- 睡眠記録のデータの見方を解説
- なぜ計測される?スマートウォッチの仕組み
- 睡眠がおかしい、測定できない時の原因
- ガーミンでレム睡眠がないと表示される理由
- ガーミンの推奨睡眠時間が長いのはなぜ?
そもそも深い睡眠の平均時間はどれくらい?

深い睡眠の時間は、成人の場合、一晩の睡眠時間のうち15~25%を占めるのが理想的とされています。
例えば、7時間の睡眠をとる人であれば、そのうち約1時間から1時間45分が深い睡眠に充てられるのが一つの目安となります。この時間は、脳と身体の回復にとって非常に大切な役割を担っています。
深い睡眠中に成長ホルモンが最も多く分泌され、日中に受けた身体のダメージ修復や、記憶の定着が行われるのです。
10代の頃は睡眠全体の20~25%を占めますが、加齢とともにその割合は徐々に減少し、60代では10%程度にまで下がることが一般的です。これは自然な変化であり、過度に心配する必要はありません。
もし、深い睡眠がこの目安よりも著しく短い状態が続くと、日中の強い眠気や集中力の低下、疲労感が抜けないといった不調につながる可能性があります。
まずはご自身のスマートウォッチのデータと、この「15~25%」という数値を照らし合わせ、ご自身の睡眠の状態を把握することから始めてみましょう。
睡眠記録のデータの見方を解説

スマートウォッチが提供する睡眠記録は、単に睡眠時間を見るだけでなく、各データの意味を理解して総合的に判断することが大切です。
多くのスマートウォッチでは、睡眠の質を0から100の数値で評価する「睡眠スコア」が算出されます。このスコアは、睡眠時間、各ステージの割合、心拍数の安定性、夜中の覚醒回数などを複合的に評価したもので、日々の睡眠の質を手軽に把握するのに役立ちます。
また、私たちの睡眠は「浅い睡眠」「深い睡眠」「レム睡眠」というステージで構成される約90~110分のサイクルを、一晩に4~5回繰り返すのが理想です。
特に、睡眠の前半に深い睡眠がしっかりとれており、後半にかけてレム睡眠の割合が増えるバランスが、質の良い睡眠の典型的なパターンと考えられています。
夜中に目が覚めた回数や時間を示す「覚醒」データも確認すべき項目です。覚醒の回数が多かったり、一度の覚醒時間が長かったりすると、睡眠が分断されてしまい、 回復力をともなった睡眠が得られにくくなります。
これらのことから、一つの指標だけで一喜一憂するのではなく、睡眠スコア、各ステージのバランス、そして覚醒の状況を総合的に見て、ご自身の睡眠の傾向を長期的に把握することが、改善への第一歩と言えます。
なぜ計測される?スマートウォッチの仕組み

スマートウォッチが睡眠状態を測定できるのは、主に「心拍数」と「体の動き」という2つの身体的指標を、搭載されたセンサーで検知しているためです。
睡眠の各ステージ(浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠)では、心拍数や体の動きに特有のパターンが現れます。スマートウォッチは、これらの微細な変化を捉え、独自のアルゴリズムで分析することで、ユーザーがどの睡眠段階にあるのかを推定しています。
光学式心拍計(PPGセンサー)
時計の裏側に搭載されているこのセンサーは、LEDライトを皮膚に照射し、血流の変化を読み取ることで心拍数を測定します。深い睡眠中は心拍数が最も低く安定し、レム睡眠では不規則に変動するなど、睡眠段階ごとの心拍数の特徴を基に分析を行います。
加速度センサー(モーションセンサー)
手首の動きや寝返りといった体動を検知するセンサーです。深い睡眠中は体の動きがほとんどなくなる一方、浅い睡眠では寝返りが増える傾向があります。この動きの有無や頻度から、睡眠の深さや覚醒状態を判断します。
血中酸素飽和度(SpO2)センサー
最近のモデルに搭載されているこのセンサーは、睡眠中の血中酸素レベルを測定します。この値が低下する場合、睡眠時無呼吸症候群など、睡眠の質を著しく下げる可能性のある状態の兆候を検知するのに役立ちます。
スマートウォッチはこれらのセンサーから得られるデータを複合的に解析し、睡眠の状態を可視化しているのです。この仕組みを理解することで、データの特性や限界を把握し、より適切に活用できるようになります。
睡眠がおかしい、測定できない時の原因

スマートウォッチで睡眠データがうまく測定できない、または表示される数値がおかしいと感じる場合、その原因はいくつか考えられます。
最も一般的な原因は、デバイスの装着方法にあります。ベルトが緩すぎてセンサーが皮膚に密着していなかったり、逆にきつすぎて血流を妨げていたりすると、心拍数を正確に読み取れず、データが不正確になることがあります。
次に、デバイスの設定も影響します。特にGarminなどの多機能なウォッチでは、バッテリー消費を抑える「バッテリー節約機能」が睡眠中にオンになっていると、心拍センサーが停止してしまい、睡眠が測定されません。
あらかじめ睡眠時間帯を設定し、その間は節約機能がオフになるようにしておく必要があります。
また、就寝中にトイレなどで長時間起き上がったり、活発に動いたりすると、ウォッチが「起床した」と判断してモニタリングを終了してしまうことがあります。同様に、アクティビティ(運動)の記録中は、睡眠として計測されません。
これらの点を踏まえ、データが測定できない場合は、まずデバイスの装着方法と各種設定を見直してみることが、問題解決への近道となります。
ガーミンでレム睡眠がないと表示される理由
Garminのスマートウォッチで睡眠データを確認した際に、「レム睡眠」が全く記録されていなかったり、極端に短く表示されたりすることがあります。これには、いくつかの可能性が考えられます。
一つは、計測上の問題です。前述の通り、レム睡眠中は心拍や呼吸が不規則になるため、他のステージと比較してデバイスによる判定が難しい側面があります。
ウォッチの装着が不適切で心拍センサーが正確なデータを取得できなかった場合、レム睡眠として正しく認識されないことがあります。
もう一つは、睡眠の質自体に要因があるケースです。例えば、就寝前にアルコールを摂取すると、寝つきは良くなるものの、睡眠後半のレム睡眠が抑制されることが科学的に知られています。
また、強いストレスや疲労も、睡眠サイクルのバランスを乱し、レム睡眠の減少につながる可能性があります。もし、レム睡眠がない、または短いという結果が一度だけであれば、その日の体調や行動が影響した一時的なものである可能性が高いです。
しかし、このような状態が何日も続くようであれば、ウォッチの装着方法を見直すとともに、自身の生活習慣を振り返ってみることが望ましいでしょう。特定の結果に一喜一憂せず、数日間から一週間といった期間のデータの傾向を見ることが大切です。
ガーミンの推奨睡眠時間が長いのはなぜ?
Garminのスマートウォッチが提示する「推奨睡眠時間」が、一般的な目安とされる7~8時間よりも長く表示され、疑問に感じることがあるかもしれません。
これは、Garminの推奨時間が、単に固定された平均値を提示しているのではなく、ユーザー個人のデータに基づいて出されたアドバイスだからです。
特に、Garmin独自の指標である「Body Battery」や「ストレスレベル」「トレーニング負荷」といった情報を考慮して、その日のあなたに必要な回復時間を算出しています。
例えば、日中にハードなトレーニングを行ったり、仕事で高いストレスにさらされたりした日は、心身の回復により多くの時間が必要と判断され、通常より長い睡眠時間が推奨される傾向にあります。
逆に、リラックスして過ごせた日は、推奨時間が短くなることもあります。つまり、Garminが示す推奨睡眠時間は、「昨日のあなたの活動とストレスを回復させるために、今夜はこれくらいの睡眠をとるのが理想的です」という、具体的な提案なのです。
スマートウォッチで深い眠りの平均時間を増やす

- 正しく測るための睡眠設定のコツ
- 日々の生活でできる睡眠改善アクション
- 睡眠の精度で選ぶおすすめスマートウォッチ
正しく測るための睡眠設定のコツ

スマートウォッチの睡眠トラッキング機能を最大限に活用し、正確なデータを取得するためには、購入後の初期設定や日々の使い方にいくつかのコツがあります。
まず基本となるのが、アプリ内でご自身の標準的な就寝時刻と起床時刻を設定しておくことです。これにより、デバイスがいつ睡眠モニタリングを開始・終了すべきかを判断しやすくなり、誤検出を防ぐことにつながります。
次に、Garminデバイスなど複数のウェアラブルを所有している場合は、普段睡眠中に身につけるウォッチを「優先ウェアラブル」として設定しておく必要があります。これを怠ると、データが正しく同期されない原因となります。
また、正確な心拍数を取得するために、ウォッチを継続的に装着することもポイントです。特に就寝する直前だけでなく、その1〜2時間前から装着しておくことで、安静時の心拍数が安定し、より精度の高い睡眠分析が可能になります。
これらの少しの手間をかけるだけで、日々の計測データはより信頼性の高いものになります。もし今まで設定を意識したことがなければ、一度ご自身のスマートウォッチアプリの設定項目を確認してみることをお勧めします。
日々の生活でできる睡眠改善アクション

スマートウォッチのデータで深い睡眠が少ないと分かった場合、日中の過ごし方や就寝前の習慣を見直すことで、睡眠の質を改善できる可能性があります。
生活習慣の見直し
深い睡眠を増やすには、日中に適度な「睡眠圧(眠気)」を高めることが効果的です。特に、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を習慣にすると、体温が適度に上昇し、夜にかけて体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れやすくなります。
また、朝起きたら太陽の光を浴びることも大切です。これにより体内時計がリセットされ、夜のメラトニン(睡眠ホルモン)分泌が促されます。逆に、コーヒーなどに含まれるカフェインや、アルコールの摂取は、特に就寝3〜4時間前は控えるのが賢明です。
寝室環境の改善
快適な睡眠のためには、寝室の環境を整えることが欠かせません。理想的な室温は18~22度、湿度は40~60%が目安とされています。
また、光は睡眠の質に大きく影響するため、遮光カーテンを活用するなどして、寝室はできるだけ暗く保ちましょう。外部の騒音が気になる場合は、耳栓なども有効です。
就寝前のリラックス習慣
就寝前は、心身をリラックスモードに切り替える時間を作りましょう。スマートフォンやPCが発するブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制してしまうため、少なくとも寝る1時間前には使用を控えるのが理想です。
ぬるめのお湯での入浴や、軽いストレッチ、深呼吸などは、副交感神経を優位にし、スムーズな入眠を助けます。これらのアクションを参考に、ご自身のデータを見ながら、自分に合った改善策を試してみてください。
睡眠の精度で選ぶおすすめスマートウォッチ

睡眠トラッキングの精度を重視してスマートウォッチを選ぶなら、多角的なセンサーを搭載し、独自の分析アルゴリズムを持つメーカーのモデルが候補となります。ここでは、代表的な3つのメーカーの特徴を紹介します。
メーカー | 主な特徴 | こんな人におすすめ |
Garmin | 睡眠スコアやBody Batteryなど、健康指標と連携した高度な分析が可能。バッテリー寿命が長く、継続的な計測に適しています。 | 詳細なデータに基づいて本格的に睡眠の質を改善したい人、日中の活動と睡眠の関係を深く知りたい人。 |
Apple | iPhoneとのシームレスな連携と、直感的で分かりやすい「ヘルスケア」アプリでのデータ管理が魅力。睡眠ステージ分析も詳細です。 | 既にApple製品を愛用しており、手軽に日々の睡眠習慣を管理・改善したい人。 |
Fitbit | 独自の睡眠スコア評価に定評があり、皮膚温度や心拍変動からストレスレベルと睡眠の関係性を分析する機能も搭載。コストパフォーマンスに優れます。 | 手頃な価格で、睡眠とストレスの両方をバランス良く管理したいと考えている人。 |
これらのことから、単に「精度が高い」というだけでなく、ご自身のライフスタイル、使用しているスマートフォン、そして睡眠データから何を知りたいのかという目的に合わせて選ぶことが、後悔しないための鍵となります。
まとめ:深い眠りの平均時間をスマートウォッチで管理
- 深い睡眠の理想的な時間は総睡眠時間の15~25%が目安
- 深い睡眠は脳と身体の回復、記憶の定着に不可欠な時間
- 深い睡眠の割合は加齢とともに自然に減少する傾向がある
- スマートウォッチは心拍数と体の動きから睡眠状態を推定する
- 睡眠スコアは睡眠の質を総合的に評価した便利な指標
- データを見る際は時間だけでなく各ステージのバランスも確認する
- 装着が不適切だとデータが不正確になることがある
- デバイスの睡眠設定やバッテリーモードを事前に確認する
- データの精度はあくまで目安であり医療機器ではないと理解する
- 数値に一喜一憂せず長期的な傾向と自身の体感を重視する
- 日中の適度な運動は夜の深い睡眠を促進する
- 朝日を浴びることで体内時計が整い睡眠の質が向上する
- 就寝前のカフェイン、アルコール、ブルーライトは避ける
- 寝室を暗く静かで快適な温度・湿度に保つことが大切
- 自分に合った改善策を見つけ継続することが睡眠管理の鍵となる
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